名前を呼ぶと、こちらを見る。
たったそれだけのことなのに、嬉しくてたまらなかった頃がある。
「ちゃんとわかっているんだ」
そう感じたのは、生後7か月頃だった。
それまでは、どこか一方通行な感じがしていた。
もちろん、にっこり微笑んでくれるし、抱っこすれば安心した顔もする。
でも、それはまだ反射のような、赤ちゃんらしい反応の延長のようにも感じていた。
ところが、この頃から少しずつ変わっていった。
名前を呼ぶと、こちらを見る。
振り返る。
「ママ」「まんま」と何度もはっきり声を出す。
それだけで、急に“通じ合っている感じ”が生まれた。
特に嬉しかったのは、名前を呼ぶと振り向くようになったこと。
最初は偶然かなと思った。
でも、何度呼んでもちゃんとこちらを見る。
その瞬間、
「あぁ、ちゃんとわかっているんだな」
と思った。
ちゃんと意思疎通ができ始めているのかも。
そんなふうに思うようになった。
一方通行が双方向になったと感じられた。
この頃は、ずりばいを始めたり、はいはいの体勢をとったり、つかまり立ちのような動きをしたり。
昨日までできなかったことが、突然できるようになる毎日だった。
その成長が嬉しい反面、いろいろなことに気をつけなくては、と思った。
どこにでもハイハイで行くようになる。
気づいたらつかまり立ちをして、しりもちをつくかもしれない。
そうなったときに、赤ちゃんにとって安全な環境になっているのか。
そう考えたら、不安になった。
成長は嬉しい。
でも、それに伴った環境も必要だ。
赤ちゃんの成長の一瞬を見逃さないように。
そして、その成長に合わせた環境を作ってあげなければ。
そんな気持ちが、新たに芽生えた時期でもあった。
今振り返ると、この頃から、赤ちゃんとの時間が少しずつ変わっていった気がする。
お世話をするだけじゃない。
ちゃんと反応が返ってくる。
気持ちが通い始める。
育児って大変なことも多い。
でも、その大変さの中に、こういう小さな幸せがたくさん隠れている。
今、目の前の赤ちゃんに話しかけている方へ。
もしかすると、まだ反応が返ってこなくて、不安になることもあるかもしれません。
でも、ちゃんと聞いている。
ちゃんと見ている。
ある日突然、名前を呼ぶと振り向く日がやってきます。
その瞬間の嬉しさは、きっとずっと心に残ると思います。
赤ちゃんの成長はあっという間です。
一瞬一瞬を大切に。
繋がっていないと思う日々も、ちゃんとそこには見えない絆が育まれているから。
今この時を赤ちゃんと共にめいいっぱい楽しんでほしいと思います。

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